いつか免許を取る君へ12日目
今日は閏年。4年に一度、1年が366日に延長される
その日。
日が増えたところでやることに変わりはない。朝起きて、学科を受けて、実技を受けて、寝る。
その繰返しがようやく12回程終わったまでのことである。
珍しく、いや、そんなに珍しくないかも知れないが
強めの注意を受けた。
えも言われない不快感を強く抱いていたが、寮に戻ると愚痴を言い合える仲間がいて何とかやっていけている。
全くの他人とここまで長く一緒に生活していると謎の連帯感が産まれる。
ここは僕の家で、彼らは僕の家族なのかもしれない。
それは無い。
帰りたい
いつか免許を取る君へ11日目
三つ子の魂百までという言葉がある。
小さい頃の性格は結局一生変わらないというような意味を持つ言葉だ。
人は大人になるにつれて性格という核に"考え方"という膜を何重にも張り、自分を抑えながら生きていくらしい。
考え方の膜にはいくつかの種類があって、人との出会い、経験、知識などの見聞。 等々。
僕の性格はいつ頃から表に出なくなってしまっただろうか。
良い意味でも、悪い意味でも、色々な経験をした。沢山の膜を張った。
運転をするとその膜が剥がれていってしまうらしい。
どうなってしまうのだろうか。
とりあえず今は帰りたいと思う。
いつか免許を取る君へ10日目
仮免を取り終わってからスケジュールがえげつなすぎる
朝イチから車に乗って夜8時30まで学科の勉強をしている
死んでしまうんじゃ無いだろうか
今日は雪も降っていたので路面の状況も悪く、視界も不良で最悪の中震えながら運転した。
減速しながらギアを変えて左折ができない
しんじゃう
もうすぐ帰れると思うとうれしい
いや、まぁ帰れないんですけども
いつか免許を取る君へ8&9日目
仮免の試験があった
実技の順番が1番だったのでコースもうろ覚えだったし、合図も怠っていたので落ちたなと思っていたら
呼び止められて、「後でまた来てもらうから」と声をかけられて死を確信した。
ロビーで音楽を大音量で聞きながら項垂れていると、名前を呼ばれていたらしく、何度か呼びかけられてようやく返事を返した。
死んだんだ...僕はどうしようもない人間だ。
みんなが持っている免許すら取れず、就活もまともにせず、この社会という仕組みから外れてしまった失敗作だと、そんなことばかり考えていたと思う。
そんな思いとは裏腹に、何故か後部座席に乗せられる。
???
?
....!!!!
そう、勘違いであった。
後で来るというのは、検定の不正がないよう後部座席で見張る役としての呼び出しであった。
助かった、僕はまだ大丈夫だったんだ。
その後、学科を受け無事に合格し
仮免ゲット〜〜〜〜〜〜(´へωへ`*)(´へωへ`*)
その後路上に出て楽しく法定速度の上を出し、普通に怒られた。
この2日間かなり疲れたのに、明日も明後日もスケジュールがキッツキツでキツ。
かえりたい。
8日目書くの忘れててごめんなさい。
でもかえりたいというきもちはかわりません。
いつか免許を取る君へ7日目
気づけばもう1週間が過ぎようとしている。
明日の見きわめが終わればいよいよ修検という運びになり、いささか気が立っている。
学科は正直どうとでもなるが、実技はかなり怖い
もう毎日毎時間車に乗せて欲しい
ゴーカートみたいにぐるぐる周回するだけでいいから乗らせて欲しい
お願いします
ところで、合宿7日目ということはルームメイトと共同生活を初めて1週間ということになる
この前まで他人だった僕達が、1週間同じ部屋に閉じ込められ、1週間同じ目標に向かって走ってきた。
少し感動する
だが、帰りたいという意思は変わらない
かえりたいです
いつか免許を取る君へ6日目
もうすぐ修検がある。
別名仮免試験
そのために無線という教官無しの1人で運転する実技の授業がある
コースを覚えて1人で車に乗り1人で運転して1人で車をおりる
この科目は苦しさから解放される楽しい時間なのだが、安全確認もせず、指示器も出さずに大暴走するのでたぶん仮免は受からないと思う。
喫煙所に行くと教官がすし詰めになってタバコを吸っていた。優しい人、厳しい人、みな笑顔であった。
僕が軽く冗談をとばすとワハハと豪快に笑う強面の教官がとても印象に残っている
かなり媚びは売れたし顔も売れたと思っている。
なんとか受からせてくれ頼む
かえりたい
いつか免許を取る君へ5日目
いよいよ修検がある。
第1段階の学科が終わり、あとは仮免の試験を受けるのみだ。
不思議と不安はない。何とかなるんじゃないかという気持ちでいっぱいである。もちろん勉強はしていない
同室の赤髪くんはとても心配なようで、先輩に話を聞きに行くことにした。
なんかいける。
らしい。
わかる。
かえりたい